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のえる(仮)のなんでもかんそうぶん

札幌市すすきの・大通界隈で(大体)1人で食べ歩きや飲み歩き、読書や日常などのなんでも感想文です。

「暖かい家は涼しい家?知っておきたい住宅性能の話」 キタモロ Vol.3

こんばんは、のえる(仮)です( ´ ▽ ` )ノ

 

 

冷え込みがきつくなってきました。

朝方はマイナス3℃でしたねえ。

こうなるともう北海道ではほぼ全世帯が暖房をつけていることでしょう。

さて先日

msoasis.hatenablog.com

このようなエントリをしていたわけですが、これでは大変言葉足らず。

今回は暖房以前に必要な前提条件、住宅性能についてを考えてみます。

 

 

断熱とは

f:id:msoasis:20151207202514j:plain

(画像引用:タイガー魔法瓶㈱HP)

 

上記は魔法瓶です。

暖かい、または冷たい飲み物を入れておくと、時間が経っても元の温度に近い状態で飲むことができます。

また、クーラーボックスなんかも夏場には大活躍しますね。

では、なぜ元の温度に近い状態で保温が可能なのか?

熱が逃げにくい素材を使用し、内容物を囲ってしまうことで、外気と内容物の温度の違いを遮断して内容物の温度を維持すること。

「断熱」という考え方です。

住宅の性能の一つに、断熱・気密がありますが、暖房そして暖房費はこの断熱・気密性能と密接に関わってきます。

 

性能の指標について

順位社名Q値C値
1 北海道セキスイハイム 1.41 2.0
2 ミサワホーム北海道 非公開 非公開
3 土屋ホーム 1.23 1.0
4 一条工務店 0.7 0.59

(表1)

唐突に表を作ってみたわけなのですが、2014年度の北海道における建築確認戸数の上位4社*1と、各社ホームページ上に公開されているQ値とC値のデータです。

はて、Q値・C値ってなんじゃろな?

Q値とは

Q値とは熱損失係数のことであり、下記数式で表されます。

Q値=W / ㎡K

熱損失係数={[各部位の熱損失量の合計] + [換気の熱損失量]} / [延床面積] となります。

要約すると、「建物内外の温度差が1℃の時に、1時間で建物の外に逃げていく熱量を床面積1㎡当たりで表したもの」です。

分かりづらいので具体例を示しますと、1位の北海道セキスイハイムの場合

100㎡の建物で、外気温-10℃、内気温+20度という設定で

1.41=W / (100㎡ × 30℃) となりますので、W=4,230 となります。

つまり、1時間当たり4,230Wの熱が建物から逃げていくことがわかります。

 

C値とは

C値とは相当隙間面積を示す値であり、下記数式で表されます。

C値=家全体の隙間の合計(c㎡) ÷ 延床面積(㎡)

こちらは専門の測定装置*2により実測されます。

具体例を示しますと、一番数値の低い一条工務店の場合

100㎡の建物という設定で

0.59=家全体の隙間の合計(c㎡) ÷ 100㎡ となりますので、隙間の合計は59㎠であることがわかります。

官製はがきが148㎠ですのでこれはなかなか小さい…。

 

※現行の平成25年改正版次世代省エネルギー基準ではQ値ではなく、UA値を基準としていますが、HP上はQ値のみ記載されている場合もあったため、この記事上ではQ値を採用しています。

 

暖房の考え方

Q値のところで挙げた具体例に基づいて、暖房に必要な熱量がわかります。

過去記事から、北海道の暖房は全館暖房が基本と書かせていただきました。

100㎡の建物で、外気温-10℃、内気温+20度という設定で、1時間当たり4,230Wの熱が建物から逃げていきます。

ここに稼働率*3を仮に90%とし、安全率*4を仮に120%としてかけていきます。

4,230W × 90% × 120% =4,568Wとなります。

この住宅一棟を一時間全館暖房することを考えますと、時間当たり4,568W以上の能力を出せる暖房器を選定すればいいということになります。

暖房用ボイラーであれば大体5kw相当のものがあれば十分ということですね。

あとは大きなお部屋には大きな放熱器など、各部屋ごとに放熱器を選定するという作業が必要になります。

 

住宅性能と暖房

あれ?じゃあQ値って小さければ小さいほどいいのかな?

まさにその通りですね。

表1で最もQ値が低いのは一条工務店の0.7です。

上記の具体例に挙げている北海道セキスイハイムの約半分の数値ですね。

となると、必要暖房容量は4,568Wの約半分となり、2,300W程度で収まることになります。

ここで導き出されるのは、暖房費用が約半分になり、暖房設備の初期投資費用が大幅に削減できる、ということです。

寒冷地、特に北海道においては冬季の暖房費は家計の6割程度とも言われており、ここが圧縮できることで随分と助かるはずです。

仮に建築費が300万円上がったとしても、35年ローンを組めば月々の支払いは大体1万円の違い。

Q値を下げて暖房費を年間12万円下げることができるなら、将来的には相当なメリットといえるのではないでしょうか。

 

住宅性能を良くしよう

さあ、それでは住宅性能を良くする方法を考えてみましょう。

といっても、①断熱材、②換気方式、③開口部(窓・玄関ドア)、④住宅工法あたりを考えるだけですね。

①断熱材

  • 一般的なものはグラスウールやロックウール、ウレタンパネルなど。これら断熱材の厚みを増してやることで断熱効果を上げることができる。本州などQ値基準の低いエリアではグラスウール30㎜厚の施工も散見されるが、北海道では最低でも100㎜、ヨーロッパでは200㎜~300㎜厚にもなるとか。一条工務店はグラスウールの1.5倍の性能の断熱材を190㎜厚で施工しているそうです。

 ②換気方式

  • 意外と知られていないのが換気について。シックハウス対策として24時間換気をすること、その際1時間で住宅内の空気を1/2入れ替えなければならない、と法律*5で定められているのです。従来型の換気方式では、換気扇で室内の空気を排気し、室内の圧力低下に伴って換気口から自然に外気が入ってくる方式が一般的ですが、その場合暖かい空気を出して寒い空気を取り入れてしまうため、暖房効率が非常に悪いものとなります。これを熱交換換気システムにすると、給排気による熱ロスを10%~20%程度に抑えることができる為、Q値への寄与が大きいです。

③開口部

  • 直接外気と触れることからも、最も重要な部分と言えます。いまだに本州ではアルミサッシで単板ガラス(ガラスが1枚しか入っていないもの)が一般的ですが、北海道では樹脂サッシでペアガラス(2枚のガラスで間はアルゴンガスや空気層になっている)が基本です。よりQ値を意識しているハウスメーカーや工務店では、木製サッシやトリプルガラスなどを使用するケースがあります。開口部が貧弱ですと、ガラス面で冷やされた室内の空気が足元への対流となって*6体感温度に影響を及ぼします。また、暖かい室内の空気が急激に冷やされることで結露の原因ともなりますので、注意が必要です。

④住宅工法

  • 熱の伝導率を考えると、木材<コンクリート<鉄骨となります。特に鉄骨の場合は、工法的に断熱材の外に骨材が出てしまう場合もあるため、熱伝導が発生*7しやすいのです。全国で建築戸数No1の積水ハウスが北海道では戸建住宅を扱っていないのはこの辺に原因があるのかもしれません。木材の場合とは違い、外断熱工法など工法に工夫が必要になりますね。

 

これらを高性能なものにすると、自ずとQ値は下がることとなります。

 

うちには関係ないなあ

「いやいやそれって寒冷地だけでしょ?うちマイナス10℃とかならないし関係ないわ。」

とおっしゃる方もいることでしょう。

ただ、前回記事でも書いた通り、本州の住宅は寒いんですよね。

通気性を重視する、という旗印のもとにすっかすかの住宅を作り続けてきたために、いまだに高断熱・高気密を軽視する傾向にあると思います。

灯油のポータブルストーブをガンガンに焚いて、窓際には結露の水たまり、空気はすぐに悪くなって寒い中給油に行く。

戻ってきたら部屋が寒い。

朝起きるときはまさに地獄。

私も経験してきましたけど、本当に戻りたくないです。

最低気温0℃の地域で室温20℃の設定だとすると、北海道なんかより全然安い暖房費で全館暖房を楽しめちゃうってことなんですよね。

全館暖房ではなくても、灯油やガス、電気の消費量は今よりかなり抑えられるということになります。

でもってこういう住宅って、ここまで書いてきた通り魔法瓶みたいなものなんですよ。

なので夏場の暑い時の冷房、これもエアコンの稼働率を抑えることができます。

むしろこちらのほうがメリットが大きいですかね?

今後温暖化も進みますし、なにより省エネルギーということでエコロジーですエコロジー

 

懸念事項

こういった仕様の住宅を本州で建てるとすると、一番の懸念材料は建築会社、でしょうか。

北海道でもまともじゃない建築会社はあります。

ただ、高断熱・高気密住宅の歴史は古いために、研究も盛んですし実績も豊富です。

翻って本州の建築会社の場合、経験不足による失敗、いやそもそもそんな住宅は建てられない、というケースも考えられます。

表1の建築会社は全国展開しているため、こういう仕様の横展開は可能だと思いますが、地場の工務店さんあたりですとよほど意識の高いところでなければ難しいかもしれませんね。

心配なのは壁の中の見えない部分が結露したり、カビだらけになったり、ノウハウをしっかり持っているところに頼みたいものです。

 

高性能住宅の今後

ドイツ由来の高性能住宅で、パッシブハウスと呼ばれる規格があります。

無暖房というわけではないですが、選定基準を満たした建築資材を使うことで、年間エネルギー使用量を極限まで抑えるもので、ドイツでは義務化されるとか。

こういった厳しい基準が日本が取り入れるのはまだまだ先だと思われます。

現行の省エネルギー基準は法律でもないただの指針*8ですし、法制化されるのも2020年以降になるといわれています。

とはいえ、世界の流れとしての環境重視、CO2削減、脱原発などは避けようもないため、今後はパッシブハウス並みのスペックを持った住宅を売りにしてくる建築会社もでてくるのではないかと考えています。

快適に低コストな生活ができるようになるといいですね。

 

最後に

暖房の前に住宅を考えるとまた違った視点で見えてくるかなあと調べてみました。

高断熱・高気密住宅の快適さは口で伝えるのは難しいですが、全国的に通用すると考えています。

新築・リフォームをお考えの方は、一度ご考慮されることをお勧めしますよ~。

 

それではまた

 

SEE YOU!

*1:㈱北海道住宅通信社より

*2:でっかい掃除機みたいなもの

*3:設定温度になった場合のサーモスタットによる停止制御等、暖房をしていない時間を考慮

*4:住宅の経年劣化や品質のばらつきを想定

*5:改正建築基準法

*6:コールドドラフト

*7:ヒートブリッジ現象

*8:基準自体が先進国のなかでも緩い